2017.06.21
犬のこと③
ついに、我が犬(アメ)の去勢手術をし、犬歯を切った。本能から遠ざけるために。
アメが動物を追いかけるようになったのは、裏山に散歩に行くようになってからだ。綱をぶっち切って鹿や猿や猪を追いかけるようになった。始め、その姿は、生命力が満ちあふれ、物凄く輝いて見えた。本能ってすごいと思った。そう、こういう犬を飼いたかったんだ。
ところが、事態は急に暗転してしまった。ある日、綱がはずれた隙に、近所の山羊のところに行き、嚙み殺そうとしてしまったのだ。さらには、近所の小型犬への攻撃。本能に戻ることの恐ろしさがここにあったのだ。
“より自然で、山とともに”という飼い方は絵空事にすぎなかった。人と暮らす以上、それは危険なことなんだ。アメにとっての一番の喜びが、”本能のまま獲物を獲ること”のみになってしまった今、ストレスが過重にかかり、危険な精神状態になっているとヨーコさんは言う。アメも悲鳴をあげていたんだ。
だから、人為的に本能から遠ざけようと決めた。それが去勢。山には連れていかない。生肉を与えない。鎖を離さない。ストレスのはけ口を他に作る。
ヨーコさんが言う。「山に散歩に行きたかったら、和犬は飼っちゃダメ。人から離れてしまうから。洋犬(牧羊犬)じゃないと。」
皮肉にも、本能が山で生きる和犬を選んだために、山と本能から遠ざけなければならない結末になってしまった。私の知識と経験のなさ故に。神様はどう思うだろうか。
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